Q. 税務調査で、調査官が社長の“机の中”まで見たがるのはなぜ? スムーズに調査を終えるための「おもてなし」術とは。
A. 『概況聴取』という対話で会社の全体像を理解した調査官が、次に行うのが『現場・現物確認』です。これは、帳簿などの書類と、実際の現場が一致しているかを確認する、ごく自然なプロセスです。
まずは経理の中枢から。帳簿や通帳、現金が保管されている場所、経理担当者の机、そして使用しているパソコンなどを、一つひとつ丁寧に確認していきます。業種によっては、工場や倉庫、店舗といった、ビジネスの心臓部とも言える場所を訪れることもあります。
では、どうすればこの確認をスムーズに進められるのでしょうか。 ここで大切になるのが、調査官の気持ちを先回りする、いわば“おもてなし”の心です。
調査官が「〇〇を見せてください」と言う前に、関連する帳簿や資料をさっと取り出せるよう準備しておく。パソコンのデータを確認したいと言われれば、すぐに見たいフォルダを開けるようにしておく。
このように、調査官が知りたいであろう情報を、こちらから先回りして提示することで、調査は驚くほど円滑に進みます。そうすることで、調査官が必要以上にオフィスを歩き回ったり、追加で多くの質問をしたりする必要がなくなります。
スムーズな調査は、結果的にお互いの時間と労力を大切にすることに繋がります。良い信頼関係を築くための、大切な心得と言えるでしょう。