Q. 税務調査の質問は、なぜ経理担当者だけでは終わらないのか? 調査官が「営業日報」まで見たがる“本当の目的”。
A. 『現場・現物確認』で会社の物理的な姿を把握した調査官は、いよいよ調査の核心である『帳簿調査』へと進みます。これは、会社が作成した会計帳簿と、そこに添付された証拠書類を一つひとつ丁寧に確認し、分析していく作業です。
そして、この帳簿の確認と並行して行われるのが『質問調査』です。帳簿の数字について、社長や役員、そしてもちろん経理担当者の方へ、具体的な質問が投げかけられます。
しかし、話はここで終わらない場合があります。調査官は時として、経理以外の書類、例えば営業担当者の日報や、現場の作業報告書などの提示を求めることがあります。なぜでしょうか?
それは、「帳簿上の数字」と「現場のリアルな活動」が一致しているかを、多角的に確認するためです。例えば、帳簿に記載された外注費が、現場の作業報告書に記録された実際の作業量と見合っているか。売上の計上タイミングが、営業日報に書かれた成約日とズレていないか。
このように、異なる角度からの情報を照らし合わせることで、取引の全体像をより正確に理解しようとするのです。
これも、調査の流れや手法を理解していれば、慌てることはありません。質問されそうな点を予測し、関連資料をあらかじめ整理しておく。こうした丁寧な準備が、事実に基づいた円滑な対話を可能にし、調査官との信頼関係を深める鍵となります。