税務調査の現場から(その5)調査経過の中間報告


Q. 税務調査のクライマックス、「修正申告」の指摘。もし納得できなければ、どう着地させる?

A. 一連の調査がある程度の段階まで進むと、調査官から「調査結果のお知らせ」とも言える、具体的な指摘事項が伝えられます。これが、調査のクライマックスの幕開けです。この指摘事項に対して、会社側が「はい、分かりました」となれば、修正申告をして調査は終了に向かいます。しかし、もしその内容に納得できない、事実誤認があると感じる場合は、ここからが非常に重要な対話のフェーズです。

 会社側の意見や証拠を丁寧に提示し、調査官の見解とすり合わせながら、お互いが納得できる『調査の着地点』を探っていくことになります。これは決して感情的な言い争いではなく、事実と法解釈に基づいた、冷静な意見交換の場です。

 実は、経験豊富な税理士は、調査が始まった早い段階で、この『着地点』をおおよそ予測しています。調査の規模や目的、調査官の質問の意図などを読み解くことで、「おそらく、このあたりが論点になるだろう」と見当をつけているのです。

 事前に着地点を予測できていれば、心に余裕を持って対話に臨むことができます。ゴールが見えているからこそ、そこへ向かうための最適な道筋を描くことができるのです。