税務調査のウワサを斬る!(その1)税務調査にノルマはあるのか?


Q. 「調査官にはノルマがあるから、無理な交渉をしてくる」は本当? 税務調査にまつわる“最大のウワサ”の真相。

A. 「調査官はノルマ達成のために、何とか税金を取ろうと必死だ」…これは、税務調査について語られる、最も有名な“ウワサ”の一つです。しかし、結論から申し上げますと、これは事実とは異なります。

 もちろん、組織として目標のようなものは存在します。しかし、それを達成したからといって調査官の給料が上がったり、出世が早まったりすることは、ほとんどありません。逆もまた然りで、目標未達でも降格されることはないのです。

 では、なぜこれほど「ノルマ」の話が広まっているのでしょうか。 これは、国税組織の一部分だけを見て語られたり、過去の経験談が少しずつ形を変えて伝わったりする中で生まれた、一種の“都市伝説”のようなものかもしれません。

 この“ウワサ”を信じてしまうことには、実は大きなリスクが伴います。

 「相手はノルマのために無理を通そうとしている」という色眼鏡で調査官を見てしまうと、冷静な対話ができなくなります。その結果、本来であればお互いが納得できたはずの『調査の着地点』を、大きく見誤ってしまう可能性があるのです。

 税務調査は、ノルマを巡る“戦い”ではありません。あくまで、事実と法律に基づいた“対話”です。その本質を見失わないことこそ、最善の着地点へ至るための第一歩なのです。