税務署は見ている(01)

第1回:まるで刑事ドラマ? 調査官が「ゴミ捨て場」と「社長のカバン」を凝視する理由

 「ある日突然、税務署がやってきた!」

 いわゆる「アポなし調査(無予告調査)」。経営者にとってこれほど心臓に悪い出来事はありません。しかし、実はこの時点で、調査はすでに始まっていることをご存知でしょうか?

 調査官が玄関のチャイムを鳴らすその瞬間まで、彼らは決して何もしていないわけではありません。あなたの会社をターゲットに定めたその時から、まるで刑事ドラマのような「徹底的な周辺調査」が行われているのです。

 彼らは、申告書という「紙」からは見えない「リアルな実態」を探るため、身分を隠してあなたの日常に溶け込んでいます。

■ 調査官の視線1:「社長のカバン」

  例えば、社長がいつも持ち歩いているそのカバン。調査官は、その「重さ」や「扱い方」を見ています。ずっしりと重そうで、肌身離さず持ち歩いているなら、「多額の現金や、裏帳簿が入っているのではないか?」と推測します。銀行の夜間金庫へ向かう足取りも、当然チェック済みです。

■ 調査官の視線2:「ゴミ捨て場」

  まさかと思うかもしれませんが、会社のゴミ捨て場も情報の宝庫です。回収時間を把握し、出されたゴミ袋から、本来シュレッダーにかけるべきメモ書きや、申告されていない取引の領収書、あるいは社長の個人的な生活水準が垣間見える「証拠」を探すことがあるかもしれません。

■ 調査官の視線3:「愛車と立ち寄り先」

  申告上は赤字なのに、プライベートで高級車を乗り回していないか。会社と自宅の往復以外に、頻繁に立ち寄る「謎のマンション」や「店舗」はないか。曜日ごとの行動パターンを把握し、申告内容とライフスタイルに矛盾がないか、冷徹なプロファイリングが行われています。

 インターホンが鳴ったとき、彼らはすでに、あなたの「公の顔」と「裏の顔」のズレに、当たりをつけているのです。 税務署が見ているのは、数字だけではありません。あなたの「行動そのもの」が、常に申告書と照らし合わせられているのです。