選挙期間だからでしょうか、続けざまにお客様から同様の質問をいただいたので、全くの私の個人的な見解ですが、消費税の基本的な考え方をまとめてみました。
【⒈消費者は消費税を納めていない(政府公認の価格転嫁)】
まず前提として、消費者は消費税を納めていません。消費税を納めているのは、税務署に届出を出している事業者です。
この話をすると「いやいや私は払っています。レシートに『内、消費税等¥●●●』となってますから」と必ず言われてしまいますが、レシートに書いてある消費税は、事業者が「私は消費税を納めているので、購入者であるあなたには¥●●●を負担していただきます。」という意味です。
消費税は、政府が「新たに事業者から消費税という名目で税金を徴収するけど、事業者が負担すると大変だから、消費者に負担させることができるように事業者が販売価格に転嫁することを政府が認めたから、国民の皆さんヨロシクね!」と言って、とりあえず税率3%で導入したのが始まりです。その後5%、8%、10%と税率が変遷してきました。要は、政府公認の「価格転嫁制度」なのです。
これが良いことなのか悪い事なのか、私は判断しませんが、消費税導入時も、税率を上げる時も、民主主義の原則で、選挙によって国民の大半が賛成した結果ですから、法律に従うしかありません。
【⒉食料品消費税0%って誰得?】
食料品だけ消費税率を0%にした場合、その恩恵を受けるのは食料品を売っている事業者です。消費者はその恩恵をフルには受けられないと思います。なぜならば、販売価格を決めるのは事業者だからです。
事業者は消費税率が変わったからと言って、その分値下げすることを強制されず、どれだけ価格に転嫁するかは事業者次第だからです。
例えば、今後食料品の消費税率0%が実施された場合、本当に小売価格が8%下がるでしょうか?今、270円の卵が250円で売られるでしょうか?私はそうならないと思います。半分恩恵があれば良い方だと思います。
このまま物価が変わらず、かつ、事業者が消費税率が下がった分の全てを値下げして、初めて消費者が恩恵を受けられるのです。
【⒊食料品消費税0%の効果はどれほどか?】
本日(2/6)のNHKニュースで、去年一年間の日本国内の一世帯あたりの1ヶ月の平均生活費は314,011円、エンゲル係数は28.6%と言っていたので、一世帯あたりの1ヶ月の平均食料費は89,807円となります。ということは1ヶ月あたりの食料品に「消費税名目で上乗せ」されている金額は6,653円となります。
さて、食料品の消費税率が0%になった場合ですが、⒉のとおり、①法律施行時まで物価が変わらない、②事業者の恩恵を全て消費者に還元する、の条件を満たしてはじめて、月額で6,653円、1年で79,836円の恩恵を消費者が受けることになります。
この数字はあくまで全世帯平均で、単身〜二人暮らし世帯では食料費の支出は週に1万円ほどではないでしょうか?その金額で計算すると恩恵を受ける額は月額で3,211円、1年で38,532円となります。
生活レベルや価値観は人それぞれですが、私は「たったこれだけ」のために、税法に関わる公務員の事務量を増やし、税率変更に関わる様々な労力を増やすことについて、「大変コスパが悪い」と感じております。
【⒋食料品消費税0%は飲食店(外食産業)にとって大打撃】
ラーメン店で一杯1,100円のラーメン。今は材料原価が324円だとします。食料品の消費税率が0%になって、材料原価が300円になりました。さて、ラーメン一杯の値段が1,076円になるでしょうか?多分そうならないでしょう。仕入にかかる経費は削減できますが、内食と外食の価格差が広がり、お客さんに敬遠されてしまえば元も子もありません。
せっかくコロナ禍危機を凌いだ外食産業ですが、「食料品消費税率0%」で、また厳しい環境が巡ってきます。
【⒌今後、消費税をどうしたら良いか?】
あくまでも、今後も政府が消費税を運用すると仮定して。
インボイス制度は「複数税率の導入」、「免税事業者の益税問題」を解消するために導入されましたが、二つの問題を解消するのにインボイスを使うのではなく、「一律税率の採用」と「免税制度の廃止」が良いと思います。
これだけでかなり事務処理が簡素化されます(当然インボイスは廃止です。)。
その上で消費税率を5%程度に下げれば、消費者にも事業者にも減税の恩恵があるでしょう。
減税と対になって出てくる話が「財源」ですが、これについては、「輸出免税」をやめたら良いと思います。
消費税の輸出免税制度により輸出企業が国から還付される金額は令和4年で7.1兆円なので、これを充てれば良いでしょう。
⒈のとおり、消費税は「消費税を納める企業が自社の商品を買ってくれる人に消費税分を転嫁する制度」なので、輸出企業は輸出する商品に消費税相当分を上乗せすれば良いだけです。そうすれば「仕入れた時に支払った消費税相当分を国から還付する」という仕組みが不要になります。
「輸出品に消費税相当分が上乗せされると国際競争力が・・・」という意見もありますが、今や日本製品は価格ではなく品質で勝負しているので恐れる必要はないと思いますし、若干円安に振れれば、すぐに吸収できるでしょう。
【⒍結論として】
私の政治思想は偏ってないと思いますし、特定の政党に思い入れはありません。とお断りした上で、実務家として言わせてもらえれば、一部の業種・商品だけ税率を変えるようなことはしてほしくありません。「食料品だけ0%または8%」とか「売上高1,000万円以下は免税」とか「輸出品は免税」とかのことです。消費税を残すのであれば「一律税率」と「インボイス廃止」で。
できることなら、各種税制優遇措置を見直して税制をもっとシンプルにし、訳の分からない補助金・助成金を廃止して、ある程度税源を確保したところでの消費税廃止と。
それでも税収の足りない分は、法人税(所得税)を増税すれば良いと思っています。
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