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外注費か給与か、決めるのは実態

 建設業の一人親方、IT業界のエンジニア。社外のパートナーに仕事を頼む場面は、業種を問わず増えています。

 そこで経営者が迷うのが、その支払いを「外注費」とするか、雇用としての「給与」とするかです。請負契約書を交わしてあるから外注費で問題ない。そう整理したまま処理を続けていると、税務調査で足をすくわれることがあります。

 この区分を決めているのは、契約書の名称ではありません。現場の実態です。

⒈なぜ経営者は「外注費」にしたがるのか?

 外注費を選びたくなるのは、コストがはっきり違うからです。

 まず消費税。外注費は「課税仕入れ」ですから、納める消費税から差し引けます。ただし外注先がインボイス発行事業者でない場合、差し引けるのは支払った消費税の8割まで。令和8年10月1日以後に行った課税仕入れからは7割に下がります。給与は不課税なので、そもそも差し引く対象になりません。

 源泉徴収の手間も変わります。個人への支払いであっても、報酬・料金として源泉徴収の対象になるものを除けば、毎月所得税を天引きして納める義務はありません。相手が法人なら、もともと不要です。雇用ではないので、会社が負担する社会保険料も発生しません。

 同じ100万円を払うにしても、消費税の控除分と社会保険料の会社負担分だけ、会社に残る金額が変わる。外注費で処理したいという気持ちの背景には、この差があります。

 もっとも、外注費で処理すること自体は何ら問題ではありません。実態が伴っていれば、堂々と外注費です。

⒉税務署から見た「効率のいい項目」

 こうした経営者の事情は、税務署の側もよく分かっています。決算書や事業の規模から「実態は雇用に近いのではないか」との見立てが立てば、そこは重点的に確認されます。

 外注費を否認して給与と認定できれば、消費税では仕入税額控除を否認でき、源泉所得税では過去に遡って徴収漏れを指摘できる。一度の指摘が、二つの税目に届きます。

 本来、税務調査の目的は適正な課税の実現にあります。大半の調査官は、そこを見失ってはいません。ただ、私個人の意見として書きますが、その目的が薄れて「どれだけ追徴できたか」が先に立ってしまうことはある。そうなった調査官や、それを良しとする上司にとって、外注費は費やす時間に対する見返りが大きい項目です。目的と手段が入れ替わったときに、まっさきに手が伸びる場所だと思っています。

⒊「契約書」よりも「実態」! 税務署の判断チェックリスト

 では、どこまでが外注で、どこからが給与なのか。

 税務調査では、いくつかの要素を総合的に見て、「独立した事業主か」「指揮命令下にある労働者か」を判定します。下敷きになっているのは消費税法基本通達1-1-1「個人事業者と給与所得者の区分」で、代替性・指揮監督・危険負担・材料や用具の供与という4つの視点が挙げられています。

 外注費として認められやすいのは、次のような姿です。
・外注先が自分で請求書を作って送ってくる
・勤務時間や勤務場所の拘束がない
・進め方は本人の裁量に任されていて、細かい指示を受けていない
・道具や材料は外注先が自前で用意している
・報酬は成果に対して支払われる(完成しなければ支払われない)
・本人でなくてもよく、他の人に再委託しても構わない

 反対に、次のような実態があると給与を疑われます。
・タイムカード等で時間を管理され、遅刻・早退という概念がある
・成果ではなく、働いた時間に応じて報酬が決まる
・請求書を発注側が作ってあげている。これは実質的な給与明細です
・パソコンも工具も材料も、会社からの支給・貸与でまかなわれている
・社員と同じように細かい指示を受け、社則に従っている
・その人が来なければ仕事が回らず、代わりが利かない

 一つ当てはまったから即アウト、というものではありません。全体を見ての総合判断です。ただし、給与側にいくつも当てはまるなら、契約書の表題が「業務委託契約書」であっても通りません。

まとめ:呼び方を変えても、実態は変わらない

 外注費か給与かを、税負担の有利不利で選ぶ。その発想は、出発点から間違っています。選べるものではなく、仕事をどう頼んでいるかによって、すでに決まっている。契約書は、決まっている事実をなぞる紙にすぎません。

 今の処理に不安がある場合や、これから外注を増やそうと考えている場合は、契約の形と現場の実態にズレがないかを、先に顧問税理士へご相談ください。「外注費のつもりだったのに、後から多額の税金を請求された」という事態は、前もって手を打てば避けられます。

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