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修正申告と更正処分、どちらを選ぶ?

 税務調査の終盤になると、税務署から修正申告書の提出を促される場面があります。税務署がこれを勧める背景には、はっきりした理由があります。それを知ったうえで、応じるかどうかを決めます。

修正勧奨に働く、税務署側の都合

 税務調査が終わると、税務署は修正申告書の提出を勧めてきます(「修正勧奨」と言います。)。納税者のための提案のように見えますが、実務的には税務署側の都合が大きく関係しています。

 まず、納税者が修正申告書を提出すると、税務署は「更正処分」(税務署が職権で税額を決定・是正する行政処分)という手続きを省略できます。更正処分には内部決裁や書類作成などの事務負担が伴うため、これを省ける点は税務署にとって大きなメリットです。

 さらに、納税者が修正申告書を提出した場合、その修正した項目については不服申し立て(処分に対して異議を申し立てる手続き)ができなくなります。税務署としては、後で争いになる余地が減ります。

 ただし、争う道がすべて閉じるわけではありません。修正申告をしても、更正の請求(申告した税額が多すぎたときに、税務署へ減額を求める手続き)はできます。国税通則法は、修正申告を勧める調査官に対し、この点を説明したうえで、その旨を記載した書面を交付しなければならないと定めています。修正申告書を出す前に、その書面を受け取っているかを確かめてください。

 修正勧奨には「税務署が楽をしたいから」という側面があります。もちろん、すべてがそれだけで説明できるわけではありません。それでも、応じるかどうかを決めるときには押さえておく視点です。

違いは税額ではなく、手続きにあります

 修正申告と更正処分は、どちらも最終的に税額が是正される点では共通しています。「修正申告をすれば有利になる」と言われることがありますが、実際には大きな差があるとは言えません。

 「修正申告をすれば更正処分と比べて加算税が安くなる」という誤解がありますが、これは誤った情報です。重加算税が課される場面については、別のコラム「知っておきたい重加算税の現実」で詳しく解説しています。

 「更正処分になると調査が長引く」という話もありますが、これも実務とは異なります。修正勧奨は、調査結果の説明とセットで行われる手続きです。国税通則法は、調査の結果として更正決定等をすべきと認める場合に、その額と理由を含む内容を納税者へ説明すると定め、その説明をする場面で修正申告を勧奨できるとしています。勧奨が出てくるのは、調べる段階が終わり、結果を告げる段階に入ってからです。

 ですから、「更正処分してください。」と伝えれば、納税者側の調査対応はそこで一区切りとなります。残るのは税務署側の事務処理です。

 「更正処分になると延滞税が増える」という点についても誤解があります。確かに更正処分までに時間がかかることはありますが、「予納」(あらかじめ見込み税額を納付する制度)を活用することで、延滞税の増加を抑えられます。

 判断の分かれ目は、調査結果に納得しているかどうかです。調査結果について納税者側が「全て納得」しているのであれば、税務署の修正勧奨に応じるという選択も合理的です。一方で、少しでも納得がいかない点がある場合には、修正勧奨に応じる必要はありません。

 話し合いが平行線を辿るようであれば、「修正申告はしません。更正処分してください。」と明確に伝えることも一つの対応です。これは特別な対応ではなく、制度上認められた正当な選択肢です。

 とはいえ、修正申告と更正処分、それぞれの利点と欠点を並べて判断するのは簡単ではありません。迷うときは、税務調査に強い税理士に相談してください。

まとめ

 税務署が修正申告を勧める背景には、事務負担の軽減や争いを避けたいという事情があります。そのため、修正勧奨に応じるかどうかは、単に「従うべきもの」と捉えるのではなく、内容を精査したうえで判断します。

 修正申告と更正処分は、最終的な税額はほとんど変わりませんが、不服申し立ての可否など手続き上の違いがあります。納得している内容であれば修正申告、納得できない点があれば更正処分というように、状況に応じた選択が求められます。

 判断に迷う場合は、専門家の視点を入れて決めてください。

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