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税務調査は申告書の答え合わせです

 会社を設立して事業が軌道に乗ってくると、「税務調査」という言葉が頭をよぎります。ある日突然、税務署から連絡が来たらどうしよう。そんな漠然とした不安を抱えている方は少なくありません。

 税務調査と聞くと、あら探しをされるような怖いイメージが先に立ちます。しかし、その目的は一言でいえば「答え合わせ」です。

 日本の税制は、納税者自らが税額を計算して申告する「申告納税制度」を採っています。だから税務署は、申告された内容に偽りや間違いがないかを確認する必要がある。それだけのことです。

税務署は会社の「モノ」や「データ」をどこまで確認するのか?

 調査官は、申告書に記載された数字の裏付けを取るために、様々なものを確認します。「答え合わせ」には証拠が要るからです。

 まず、日々の取引の記録である帳簿や領収書、請求書といった紙の書類。これらが適切に保存されているか、記載漏れや改ざんがないかを一つひとつ確かめていくのが基本です。

 現代の税務調査は、紙だけにとどまりません。会社のパソコンに保存されているデジタルデータも対象になります。会計ソフトのデータはもちろん、取引先とやり取りしたメールの履歴、Excelで作成した売上管理表、スケジュール帳のデータまで。事業に関わるあらゆる情報が確認される可能性があります。

 目に見える資産の実態確認も欠かせません。帳簿上の現金残高と実際の金額が合っているかを確かめるため、金庫の中の現金も調べます。ズレがあれば、その原因を追及されることになります。

 製造業や小売業であれば、倉庫の材料や商品の在庫状況も対象です。決算書の棚卸資産の金額が適正かどうか、実地でカウントして確かめることもあります。事業に使っている機械、備品、車両も同様です。帳簿どおりに存在し、本当に事業用として使われているかを見極めるためです。

調査の対象は「人」や「取引先」にも及ぶことがあります

 「答え合わせ」は、モノやデータの確認だけでは終わりません。数字の背景にある事実関係をつかむため、関係者へのヒアリングも大きな比重を占めます。

 社長や役員、経理担当者は、直接質問を受ける主な対象です。事業の概況、取引の流れ、大きな支出の理由。質問は多岐にわたります。

 対象は、経営陣や経理担当者に限りません。一般従業員に対しても、業務の実態や社内のルールについて質問が及ぶことがあります。出張旅費の精算方法、日々の売上報告の仕組み。現場の生の声から、帳簿だけでは見えない実態をつかもうとするわけです。

 社内の調査で事実関係がはっきりしない場合や、取引の正当性に疑義が生じた場合には、会社の外にまで手が伸びます。自社の取引先への質問。これを「反面調査(対象者の取引先や銀行などに対して行う裏付けの調査)」と呼びます。

 取引先に迷惑や心配をかけてしまう可能性もあります。反面調査に至らないよう、日頃から透明性の高い経理処理を心がけ、調査官の質問に誠実かつ論理的に答えられる準備をしておきたいところです。

まとめ

 税務調査とは、申告内容に偽りや間違いがないかを徹底的に確認するためのものです。会社のありとあらゆるモノ、データ、そして人を通じて、申告された数字の「答え合わせ」が緻密に行われます。

 範囲は広いものの、日々の取引を正しく記録し、事実に基づいた申告をしていれば、必要以上に恐れることはありません。過度な税負担を避ける対策を考えるときも、ルールを逸脱した手法ではなく、税法に基づいた正しい処理を選ぶ。それが結果として会社を守ります。

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