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調査官が社内を歩いて見ているもの

 概況聴取が終わると、調査官は次の段階へ進みます。対話で会社の全体像を理解したうえで行うのが「現場・現物確認調査」。帳簿などの書類と実際の現場が一致しているかを確かめる、ごく自然なプロセスです。

 書類上の数字だけでなく、実際の業務風景や社内の様子を見ることで、ヒアリングで得た情報に矛盾がないかを裏付けていきます。調査官が社内を見て回るとなると身構えますが、目的と見られるポイントを知っておけば、落ち着いて対応できます。

社内で何を見られるのか

 基本は、経理処理が適正に行われているか、事実と異なる記録がないかの確認です。

 経理部門であれば、帳簿や通帳、現金の保管場所、経理担当者の机、使用しているパソコンを一つひとつ確かめていきます。金庫の中の現金と現金出納帳の残高が一致しているか。引き出しの中に未処理の領収書や請求書が眠っていないか。細かな点まで見ていきます。

 対象は経理部門にとどまりません。業種によっては、工場や倉庫、店舗といった事業の中心となる場所も確認します。工場なら機械設備が実際に稼働しているか、倉庫なら在庫商品の管理状態はどうか。帳簿に記載された資産が実在し、適切に運用されているかを自分の目で確かめるわけです。タイムカードの打刻場所や従業員のデスクの配置から、勤務実態をつかもうとすることもあります。

 現場・現物確認調査は、会社のあらゆる場所が対象になり得る。そう考えておいてください。

「先回り」で調査は早く終わる

 ここで差が出るのは、調査官が求めている情報をどれだけスムーズに出せるかです。

 質問のたびに慌てて書類を探したり、パソコンのデータを見つけるのに時間がかかったりすると、「日頃から経理の整理整頓ができていないのでは」という疑念を招きます。だからこそ、「〇〇を見せてください」と言われる前に、関連する帳簿や資料をさっと取り出せるようにしておく。データを見たいと言われれば、すぐに該当フォルダを開けるようにしておく。この準備が効きます。

 調査官が知りたいであろう情報を先回りして提示すれば、調査は円滑に進みます。オフィスを必要以上に歩き回られたり、追加の質問が積み重なったりすることもなくなります。

 これは資料を整理しておくという物理的な準備だけの話ではありません。調査官が何を確認したいのかを理解し、先回りする姿勢そのものです。スムーズな調査は、結果としてお互いの時間と労力を守ります。調査官も人ですから、協力的な会社には良い印象を持つものです。

まとめ

 現場・現物確認調査は、あら探しのためのものではありません。申告された内容が事実に基づいているかを客観的に確かめるプロセスです。

 日頃の整理整頓と、当日の「先回り」の準備。調査官の視点を理解し、必要なものをすぐ出せる体制を整えておいてください。

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