決算期をまたぐ売上や費用の計上時期のズレ、いわゆる「期ズレ」。税務調査で最も指摘を受けやすい項目の一つです。税務署は、決算期前後の計上時期を意図的にずらして利益を圧縮していないか、という視点で帳簿と書類を確認しています。
単純な経理のミスであっても、決算月前後に起きた期ズレは利益操作を疑われる原因になります。決算月とその翌月の売上・費用の計上は、事実関係と証拠書類にもとづいて慎重に進めたいところです。
なぜ「期ズレ」は狙われやすいのか
期ズレの確認は、税務調査の基本の「キ」と言われるほど初歩的な項目です。複雑な国際税務や高度な組織再編とは違い、取引の日付と計上された日付を照合するという作業が中心になります。そのため、経験の浅い職員や調査が得意でない職員でも着目しやすい項目です。
そして帳簿調査は、調査対象期間の最終期末の取引を確認するところから始まります。期ズレは、調査が進んだ末に浮かび上がる論点ではありません。いちばん最初に見られる場所です。
加えて、売上の計上漏れ(繰り延べ)であれ費用の先行計上(先ヅモ)であれ、期ズレを見つけるためのノウハウは長年にわたって税務署に蓄積されています。どの業種のどの科目に期ズレが生じやすいか。どんな書類を確認すれば矛盾が出るか。そうした手引きは整備されています。
もっとも、調査官にとって見つけやすいということは、納税者の側も決算前後の取引明細や請求書を確認すれば防ぎやすいということです。基本の項目だからこそ、決算作業で確実に見直しておきたいところです。
調査官が見ているのは、モノの流れ
期ズレの有無を確かめるとき、調査官は帳簿上のやり取りや手元の請求書・領収書だけを見ているわけではありません。実際のモノの流れやサービスの提供状況まで追いかけます。
商品や製品の売買であれば、「出荷」「発送」「着荷」「検収」という各フェーズで証拠書類が作られます。出荷伝票、運送会社の配送記録、先方の受領書、検収書。これらを照らし合わせ、帳簿の記載との間に矛盾がないかを突いてくるのが一般的な手法です。
利益を少なく見せるために決算期末に急いで経費を計上する。取引先と口裏を合わせて納品日を偽る。いずれにしても、複数の書類すべての辻褄を合わせるのは極めて困難です。モノが動けば、第三者である運送業者などの記録が残ります。通謀しても、見つかる確率は高いのです。
では、単なる計上時期の誤りと、重加算税がかかる話との分かれ目はどこにあるのか。仮装の事実があるかどうかです。国税庁の事務運営指針「法人税の重加算税の取扱いについて」は、帳簿書類の改ざんや虚偽記載を、隠蔽または仮装に当たる行為として挙げています。請求書などの原始記録の日付を書き換える。取引先と話を合わせて、実際と違う内容の書類を作る。ここに踏み込んだ時点で、話は計上時期のズレではなくなります。
不正計算と認定されれば、通常の追徴課税に加えて重加算税が課されます。
反面調査で発覚した二つの例
会社内の書類だけでは事実関係がはっきりしない場合、調査官は取引先や関係先に直接確認する「反面調査」を実施することがあります。
一つは、食品スーパーが発注した店舗の庇(ひさし)の設置工事です。帳簿上、請負業者からの請求書は決算期内の日付になっており、工事も期内に完了したとして費用が計上されていました。ところが調査官が請負業者へ反面調査をしたところ、実際の施工は孫請け業者が行っていたことが判明します。孫請け業者の作業日報を確認すると、工事が行われたのは決算末日以降でした。請求書の日付を操作した意図的な期ズレとみなされています。
もう一つは、機械製造会社が特別償却対象資産を導入した例です。この会社は販売店と通謀し、本来は間に合わないはずの資産を決算期内に納品・稼働させたことにしていました。納品書や請求書は期内の日付で整えられ、一見すると問題がないように見えます。しかし調査官が運送業者へ反面調査を行った結果、配送記録から実際の運搬が決算末日以降であったことが判明しました。事実関係を偽った不正計算として、厳しい指摘を受けています。
まとめ
意図的な操作はもちろん、確認不足による単純なズレでも、追及の対象になります。帳簿の数字だけでなく、実際のモノやサービスの動きが、第三者の記録まで含めて検証されるからです。
決算月前後に発生する大きな金額の取引。納品やサービスの提供が期をまたぐ取引。この二つについては、各フェーズの客観的な証拠書類と照らし合わせ、正しい時期に計上されているかを確かめてください。
「税務調査の不安、抱えていませんか?」
税務調査を知り尽くしたプロが、あなたの会社を守るための「盾」となります。
まずは無料相談で、今後の対策を一緒に考えましょう。
[税務調査対応・無料相談の詳細はこちら]